応募者のためのナルティスツアー2022 vol.10
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こんにちは! ライターの宮本です。
長きに渡ってお届けしてきたデザイナーインタビューも今回がラスト。
ナルティスのbossこと、新上ヒロシさんから、ナルティスが歩んだ歴史、そして現在地について伺います。
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現在ナルティスではデザイナー募集中です。>>>募集要項はコチラ>>>
新上ヒロシ◎1968年横須賀市生まれ。
桑沢デザイン研究所在籍後、数年間デザイン事務所に勤務ののち、1997年ナルティスを設立。
代表作は『聖☆おにいさん』(中村 光/講談社)、『ランド』(山下和美/講談社)』、
『ツイステッド・シスターズ』(山下和美/講談社)、『山と食欲と私』(信濃川日出雄/新潮社)、
『サ道―マンガで読むサウナ道―』(タナカカツキ/講談社)、『涙雨とセレナーデ』(河内遙/講談社)など。
Interview
人との出会いが仕事になる
――今年でデザイナー歴35年の新上さん。同じ仕事を長く続けていると大小様々な波があると思います。
その都度どのように“続けて”こられたのでしょうか?
ずっと同じ職業をやっていると思ったことはあまりないかもしれませんね。
若い頃、いつまで経ってもデザインをやらせてもらえなかった時期があったことを考えると、
今は「デザインしてください」と指名をいただけるわけじゃないですか。こんなに嬉しいことはないですよね。
――長く仕事を続ける上で、気が乗らなくなったりされないのでしょうか?
ないですね。基本的に嬉しいし、楽しい!
いつもデザインを頼んでくれてありがとうという気持ちです。
デザインについてはまだまだ勉強し尽くしたとはさっぱり思っていませんし、僕には師匠がいるようでいなかったから、
多くの人と出会って右往左往やっていくうちに何かを必ず学んで来た感覚があって。
代官山のブックデザインの先生や僕を誘ってくれた怖い先輩、僕にDTPを教えてくれた印刷会社の方、
漫画デザインの世界へのきっかけを作ってくれた編集者さん、
ここ数年はマネージャーの上野と出会って会社経営とともに一緒にやってきた。
だから、ずっと同じことをやっている感覚もないし、仕事に気乗りしないこともないんです。
大変なこともあるけれど、日々人と出会いながら勉強しながら進んでいるという感じですね。
――ナルティスはマネージャーがいるデザイン事務所ですが、設立当初からマネージャー制度はあったのでしょうか?
ナルティスを設立してからしばらくはデザインの仕事と並行して僕がマネージャーのような仕事もしていたんです。
でも、とにかく仕事量が増えてしまってマネジメントにまで手が回らなくなってきてしまいました。
一時は解散してしまおうかと考えたこともあるのですが、独立当初からお世話になっている税理士の先生に
「この先もナルティスを続けるには、人を雇わないとやっていけないよ」とアドバイスされたこともあり、一度よくよく考えたんです。
考えた結果、僕には人をマネジメントする才能はないんだろうと。
だったら、マネジメントできる人を探そうと思いました。
そう考えていたとき、たまたま上野がナルティスに「グラフィックデザインの現場を教えてください!」と飛び込み取材に来たんですよね。
――それが上野さんとの出会いなんですね。
ただでさえ飛び込み取材なんて緊張することなのに、あの通りの社交性でしょ?
すらすらとしゃべるし、すごい人だなと思ったんです。それが第一印象でした。
その頃、「居酒屋ナルティス」と題して金曜日の夜に編集者や漫画家さんを集めて事務所で飲むイベントみたいなことをしていたんですよ。
集まるときは30人くらい来てわいわい飲んでいたのですが、そこに上野も来るようになったんです。
そういう場での上野を見ていると、みんなに名前と顔を覚えてもらい、漫画家さん同士の繋がり役になっていたりして。
とにかく柔軟に人と接していて、人との垣根がなかった。そういう性格が魅力的だと思ったんですよね。
――でも上野さんはそのときはまだ別の会社に在籍していたんですよね?
そうなんです。すごくちゃんとした企業にいたから、口説くのに1~2年くらいかかったんですよ。
月に一度は呼び出してナルティスがどうなっていきたいかという話をして、
「僕と一緒になんとか手探りでやってくれないか」とお願いをしました。
人をスカウトするからには、条件面なんかも提示しながら、
「僕は毎日デザインしなくちゃいけないんだけど、デザイン以外のことに手が回らない。だから助けてくれないか」って。
――最終的にはどのような形で上野さんがご一緒することになったのでしょう?
最終的に、「新しい事務所へ引っ越す勢いでやりたい。そのくらいの覚悟です」と伝えたら
「そこまで大プロジェクトならおもしろそう」と上野も納得してくれたんです。
当時僕は35歳くらいで、仕事の忙しさもピークだった。
そこから上野はこのブログを書きながら、一緒に物件探しをして、江戸川橋の事務所へ引っ越しました。
引っ越してから人を募集して、1人、2人、3人と増えていって、今は高円寺の事務所にまた引っ越して…。
そういうことが全部実現したのはやっぱり上野がいてくれたおかげだと思いますね。
――今のナルティスがあるのはマネージャーのおかげでもあるんですね。
上野自身も何だかわからない業界に突然飛び込んできて、
そこから自分で開拓していったっていう経験は初めてだったと思うんですよ。
最初はもう10円ハゲとかいっぱいできていたし。
人が増えるたびに「あの人とうまくいくにはどうしたらいいんだろう」と悩んでくれました。
社外のことでも活躍してくれましたね。編集部への営業って普通緊張するじゃないですか。
でも上野はコロッケ100個を編集部に持っていって「上野来ましたーっ!」とコロッケを配って編集部をまわったりしてくれたんですよ(笑)。
――コロッケ100個!?
嘘のようで本当の話で(笑)。
編集部の人たち一瞬ビックリするんだけど、でもそれで「ナルティスの上野」というのは強烈に印象付けられる。
そのおかげで、仕事に繋がっていったりしましたから。
僕も、上野をマネージャーとして迎え入れて改めて覚悟ができたという感覚があります。
やっぱり会社を辞めさせてまで来てもらった以上は、会社をちゃんと大きくしていきたいという決意もあったし。
江戸川橋の事務所に引っ越したところから、今のナルティスのすべてが始まった気がします。


打ち合わせの重要性
――ナルティスでは打ち合わせを大切に考えられているとお聞きしました。内装にもその想いが反映されているとか…?
江戸川橋の事務所を作るときに内装のアイデア出しをしていて、「打ち合わせをすごく大事に考えている」という話を
内装デザイナーさんにしたところ、「吊戸棚をキャンバス地にしてみたらどうですか?」というアイデアをいただきました。
居酒屋に行くと、サインが書かれた色紙が壁一面に貼れられていると思うのですが、あのイメージです。
――壁一面、漫画家さんが描いてくださった絵で埋め尽くされていますね!
「漫画家さんがここに描いてくれたらいいよね」と言っていたら予想以上に描いてくださる方が多くて。
ありがたいことに、こんな風に圧巻のスペースになっています。
江戸川橋時代の吊戸棚もこうして切り抜いて、今の高円寺の事務所に持ってきています。


――普段打ち合わせはどのように行うのですか?
今はオンライン打ち合わせも多いですが、打ち合わせには作家さんや編集さんに事務所に来ていただいて行います。
よく上野も同席してくれるのですが、デザインと関係のない雑談を作家さんや編集さんと話してくれるんですよ。
すると、僕は安心して先方の話をヒアリングしながらさっとノートにラフを描いたりできる。
上野も「新上が今何か描いていますけど、最近はどうなんですかー?」と話を切り盛りしてくれて。
――話は上野さんに任せて、という感じですね。
僕らデザイナーはいたずら小僧みたいなものですよ。
言葉にはできないし、話もうまくないけど、デザインや絵にはできる。
得意な人に話を進めてもらって、デザイナーは話の端々を拾いながら、編集さんや作家さんが表現したい“何か”を見つける。
それが僕ら流の打ち合わせなのかなと。
だから、話が得意である必要はないんです。
うちのデザイナーたちも、もっとマネージャーに委ねちゃえばいいと思うんですよね。
そしてだんだん委ねることがうまくなっていくといいな、なんて思っています。
ナルティスの“今”がずっと続いていくように
――今後のナルティスはどうあっていきたいですか?
10年後にどうなりたいか、などというビジョンは実はあまり持たないようにしています。
でも、例えば今のようにコロナ禍になったらリモートワークができるようにするとか、
一昨年のように社員が妊娠したら産休・育休制度を整えるとか、いろんなことがこの25年であったけれど、
その都度解決策を考えて動くことができてきたなという自信はあります。
――臨機応変にやってこられたんですね。
もちろんどれもマネージャーのおかげだと思うのだけど、これからもそうやって出てきた課題をクリアしながら、
今の状態をちゃんと続けていけるように努力をしていきたいと思っています。
――応募締め切りが迫っています。どのような人がナルティスに向いていると思いますか?
デザイン事務所がなんだか怖いというイメージを持っている方はたくさんいると思います。
僕も最初怖い思いをしたし(笑)。でも、そこは心配しなくていいと思います。
学校で学んだことや前職での経歴などそれはそれで大事かもしれないのですが、まずはここで始めることを楽しめる人は、
ナルティスでやっていけると思うんですよね。
デザインは、人と人とが仕事をしていく現場です。
単行本のデザインをひとつ仕上げるのにも編集さんがいて、作家さんがいて、印刷会社の方がいて、
何人も人が関わっていくことになります。その人たちとの関わりを楽しめる人はやっていけると思いますね。
――やっぱり人と人とのつながりを大切にされているんですね。
うちにきたら知識や経歴がなくてもそれなりにできちゃうと思う。
とにかくチームであることが大事だし、作品をリスペクトできるかどうかだと思っています。
だから、実力や学歴に自信がないくらいのことで応募するのを躊躇しないでほしいです。
――学歴や経歴に自信がなくてもひとまず応募してみるというのもありですね。
逆に、特定の漫画だけが好きでその漫画だけのデザインをやりたい、というのはちょっと違うかな。
同人誌を作るような考えではデザインはできない。
作家さんと対等に僕らは名刺を持ち、人同士が作るものがデザインですから。
あと、シャイだとか、コミュニケーション能力がないだとかも全然困らないと思う。
うちには最強のマネージャーがいるし、そういったことは全部フォローしてくれるので心配しないでください。
ナルティスは、フォローし合いながら才能を開花させていくポテンシャルを持っている事務所なので。みなさんの応募お待ちしていますよ。
――長時間にわたり、インタビューありががとうございました!

【終】
<応募者のためのナルティスツアー2022>はこれにて終了です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
ナルティスではデザイナーを募集しております。
〆切間近ですが、ご応募お待ちしております!
デザイナー募集要項はコチラからご覧ください。