応募者のためのナルティスツアー2022 vol.1
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こんにちは! ライターの宮本と申します。
この度は“ナルティスツアー”でデザイナーさんへのインタビューを担当することになりました。
ナルティスの皆さんからどんなお話が聞けるのか、わくわくしています!
第1回目となる今回は、入社4年目のデザイナー・稲葉玲美さんにお話を伺いました。
前編・後編に分け、ロングインタビューをお届けします!
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現在ナルティスではデザイナー募集中です。>>>募集要項はコチラ>>>
■今回のインタビューイ
稲葉玲美さん◎2018年6月入社。SPツールなどのデザイナーとしての勤務(3年)を経て、ナルティス入社。
代表作は『日常ロック』(KADOKAWA)、『そのモガリは熱を知らない』(講談社)、『はぐるまどらいぶ』(実業之日本社)、
『ねこのマッサージ屋さん』(オーバーラップ)など。
第一線で活躍する、入社4年目の装丁家
――今年で入社4年目という稲葉さん。入社当時からこれまでを振り返ってみていかがですか?
あっという間でした。
ついこの間入社して先輩たちの手伝いをしていたと思ったら、いつの間にか4年目に突入しようとしていて、
最近はありがたいことに装丁も担当させていただけるようになりました。
本当に目まぐるしくここまで来たなと思っています。
ナルティスに入る前はそこまでがっつりとデザインをするような職種ではなかったので、
自分がこんなにしっかりデザイナーをしているっていうのは不思議な感じですね。
――これ全部、稲葉さんが担当されたきた作品ですよね?
今回取材を受けるということになり、こうやって改めて並べてみると…「あ、意外とやってきたんだな」と今実感しています(笑)
――圧巻の数ですよね! まだ4年目なのに、ここまでの数を手がけられているなんてすごい!
ありがとうございます。気持ち的にはまだまだひよっこというか、下っ端という感じがするのですが…。
――稲葉さんはなぜナルティスに応募しようと思ったのでしょうか?
求人サイトでたまたまナルティスを見かけたんです。
それまでは、漫画装丁について考えたことがまったくなかったのですが、ナルティスの求人を見て初めて
漫画や本のデザインがあるんだということを意識しました。
私は元々漫画がすごく好きだったので、直感で「めっちゃやりたい!」と思ったのですが、すぐには応募をしなかったんですよね。
――躊躇する理由が何かあったのですか?
当時は募集要項に「実践経験3年以上」と書いてあったのですが、そのときは自分の経歴に自信を持てなかったんです。
「こんな経歴で応募してもいいのかな」と迷って…。
でもやっぱり“漫画のデザイン”というものに興味がすごくあったので、ギリギリまで迷いながらも一か八かという感じで応募しました。
――“デザイン”というよりも“漫画のデザイン”がやりたかったということですね。
じつは、前職で結構デザインに懲りていた感じがあったんです。
そもそもデザインの仕事を続けること自体どうしようかなと悩んでいたり、デザインの仕事をやってみたいけれど
「がっつりとはできないかもな」と思っていたりしていて。
でも、“デザイン”ではなく、“漫画のデザイン”となると、俄然やりたいなと思ったんですよね。
ナルティスのブログってがっつりデザインした作品がいっぱい載っているじゃないですか。
すごい偏見ですけど、デザインをバリバリやっている人って怖そうだなっていうのがあったので、
そういう場所に飛び込んでいくのに少し躊躇していたというのはあります(笑)
――覚悟して応募したのですね!
覚悟しました(笑)。でもやっぱり気になって仕方がなかったので、応募することに決めたんですよね。
でも、入ってみると雰囲気はカラッとしていて「怖いデザイナー」みたいなイメージは全然なくて、とても安心しました。
それよりも、最初から有名な作品にアシスタント関わることができたのでとにかく毎日「すげぇなあ!」というかんじで。
先輩方もたくさん教えてくれる環境で、不安なく働き始められた気がします。
“デザイナー力”を見ている!? ポートフォリオとデッサン
――今回の応募にもポートフォリオが必要とのことなのですが…。おお、すごい!
稲葉さんのポートフォリオ、(ここではお見せできないのですが)パン屋さんのチラシがずらーっとおしゃれに並んでいます。
ここに込めたこだわりなどあったのでしょうか?
自分の実績にめちゃくちゃ不安があったので、ポートフォリオはまずいっぱい載せることを意識しました。
一個一個は荒いのですが、とにかくたくさん載せる。
あとは、ただデータを載せるだけだとあまり映えないので、印刷したものを見切れさせたり俯瞰で撮影していい感じに見せたり、
構図を工夫しました。印刷したものを切って、写真で撮って、ファイリングする。
大したことないものでもよさげに見せるという見せ方は頑張ったかもしれないです。
――デッサンも今回の応募の必須提出物に入っていますね。やっぱりデッサンは、デザイナーさんにとって大事なものなのでしょうか?
例えば、打ち合わせのときにアドリブ的にラフを描くことが結構あるのですが、デッサンしたことがないと、
そういう場ではさっとは対応できないと思うんです。
描ければ、編集さんからも土台のある人だなと思われますし、作家さんもイメージがつきやすくなります。
漫画の装丁では、イラストをディレクションすることもあるので、その点でも必要だと思います。
編集さんに「稲葉さん的にこのイラストどう思いますか?」「ここどうやって描いたらいいと思います?」と聞かれることもたまにあって、
そういうときにも絵を見る力がないと、こっちから指摘ができない。
ただかわいいのではなく、ポーズの不自然さや絵全体のバランスに気づけるのもデッサン力があってこそなのかなと思います。
大変さとおもしろさが両立する、作家さんへのディレクション
――なるほど。ちなみに漫画の装丁でイラストをディレクションするというのは、どのような流れなのでしょう?
まずは打ち合わせで編集さんにヒアリングをして、「今回イラストをディレクションもお願いしたい」という要望もその時点で聞きます。
――ディレクションをする場合と、そうではない場合がある?
そうですね。すでに作家さんがイラストを描きあげてくださっている場合もあります。
ディレクションする場合は、まずはラフを提案します。私の場合、だいたい3パターンくらいお出しすることが多いですね。
担当した作品の『吸血姫は薔薇色の夢をみる』のときも4パターンお出ししました。
――このラフも稲葉さんが描かれたんですよね。ここでもデッサン力というか、絵を描く力が大切になってくるのか…。
『吸血姫は薔薇色の夢をみる』の場合は、「美少女推しにしたい」というオーダーだったので、足を見せたり、
挑発的なポーズを取ったりしているこちらのラフがいいねという話になり、方向性が決まりました。
その後は、作家さんが描いてくださるラフを待ちます。
上がってきたラフを見て、編集さんと相談しながら場合によってはリテイクをお願いしたりしつつ、
完成イラストが上がってきたらデザイン作業に入るという感じです。
――イラストからディレクションする場合とそうでない場合、アプローチの違いってあるのでしょうか?
イラストのディレクションから入ると、結構プレッシャーというか…。
作家さんにディレクションしたものを描いていただくので、自分的には「いいの!?」という感じがあります。
この『彼誰インソムニア』も何案か提案させていただいて、イラストが決まっていったのですが、やっぱりいつも緊張しますね。
もちろん事前にヒアリングなどさせていただきますが、ほぼゼロから考えるので手探り感はあったりします。
「見当違いの提案をしてしまったらどうしよう…」と不安になることもあるのですが、
「この案を作家さんが描いたらどうなるんだろう?」というわくわく感はとてもありますね!
――ものすごくやりがいがありそうです。
自分がきったラフからこんなにすばらしい絵が仕上がってくるのは、本当にすごいことだなと思います。
その感動がある分、作品自体に深く関わったなという感覚が自分でも強くなるので、うれしいし、楽しい!
デザインを出して決めるまでは、意識が飛んでいるというかいっぱいいっぱいなんですけど(笑)。
いざ、色校が上がってきて目にした瞬間の「あ、本当に決まったんだな!」と感動は毎回あります。
デザイン案をだして、速攻「これでいきましょう!」と決まったときも「やった!」って思いますし、そういうのもうれしいですね。
――そして、それが書店に並ぶわけですよね!
そうなんですよ! 「自分が作った本が本屋にある!」みたいな。
書店に並んでいるところをこっそり写真に撮りたいくらいです(笑)。
前職ではこういった仕事をしてこなかったので、町中に自分のデザインしたものが並ぶというのは新鮮です。
しかもそれが漫画で、自分が好きなもので、読者の方に直接届くもので…。
うれしいですし、楽しいですね。もうこの仕事以外できないんじゃないか?というくらい(笑)
好きなことを仕事にしていますが、それで漫画が嫌いになるってことはないですし、やっぱりこの仕事の醍醐味だと思います。
――今お話されたのは、入社4年目にしてお一人でやられている仕事だと思いますが、入社した当時の業務はどんな感じだったのでしょうか?
最初はアシスタント業務からで、画像のキリヌキやデータ整理など下準備をひたすらやっていました。
Illustratorの操作にも慣れてきた頃に、読み切り漫画のトビラや雑誌の広告記事などを任せてもらえるようになってきて。
そして、だんだん「前回もやってもらったので今回もお願いします」というようなご依頼が増え、どんどん仕事が広がっていった感じですね。
入社半年くらいで、TL小説の表紙をやらせてもらうことになったのが初の装丁でした。
――入社半年で表紙を担当!?
はい、チャレンジさせていただきました。
もちろん先輩の指導のもと進めていく感じだったのですが、そういった小説系やラノベ系の案件が1~2年目はちょこちょこいただくことができて。
初めて独り立ちというか、1冊まるごと装丁を担当したのは『遼河社長はイケない。』という作品です。
先輩に見てもらいつつ、編集さんに案を提出して決まっていったのですが、連載から関わっていた作品だったので、
作品自体のイメージも掴めていたというのもありました。思い入れのある作品です。
続いて、本記事の後編では、デザイナーの仕事について、ナルティスという会社についてなどを深堀りしていきます。
お楽しみに!