2020年 12月 02日
WORKS_comic『刷ったもんだ!』2巻 <装丁レポあり>
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染谷みのる
『刷ったもんだ!』2巻
講談社 モーニングKC
ごきげんいかがですか?
マネージャー上野です。
モーニングで連載中の『刷ったもんだ!』、第2巻が発売となりました!
印刷会社を舞台とした、熱くて愉快なお仕事マンガです。
実際に印刷会社で働いた経験を持つ漫画家・染谷みのるさんの描く物語は、デザイン事務所である私たちにとっても
なかなかにリアルで共感できることのオンパレード!!
今回は装丁を担当しているデザイナーの井上愛理に話を聴きながら、装丁レポートをお送りします!
井上は、とある企業のインハウスグラフィックデザイナーを経て、ナルティスに入社。
インハウスデザイナー時代には、さまざまな販促物のデザイン(什器やチラシ、カタログなど)や、
撮影ディレクションの経験を積んできました。
現在ナルティスでは、さまざまなジャンルの装丁を手がけ、モーニング・ツーの表紙デザインも担当しています。

■たくさん売りたいので、キャッチーな装丁にしたい!
遡るは、1巻の打合せにて。「たくさん売りたいので、キャッチーな装丁にしたい!」というのが、
さて、漫画デザインのお仕事は、連載スタート時からはじまります。
数話分の漫画のネーム(話の内容がわかる資料など)をいただき、
漫画家さん担当編集さんの希望イメージをヒアリングして、ロゴをデザインしていきます。
1話目の扉がコチラ。

ロゴは連載中にずっと使うものなので、単体でも活用していただけるように、

まさに「真白 悠、参上!!!」というカバー絵をいただき、

こちらは2巻。

カバーでは、真白さん黒瀬さんが色校正を確認しているわけなのですが、よーくご覧ください。
当初は、校正紙部分以外のデザインを完成させて入稿して、

ちなみに2巻は、黒瀬さんのモニタが連載扉デザインの作業画面になっています。
■帯デザインもポイント!
担当編集さんの最初のご要望でした。
とってもざっくりしているように聞こえるかもしれませんが、
とってもざっくりしているように聞こえるかもしれませんが、
“たくさん売りたい!”=たくさんの人の心に届いて欲しい!というド直球な要望に、
「よっしゃあああ!」と気合いが入ります。
■漫画デザインは連載との伴走!
「よっしゃあああ!」と気合いが入ります。
■漫画デザインは連載との伴走!
さて、漫画デザインのお仕事は、連載スタート時からはじまります。
数話分の漫画のネーム(話の内容がわかる資料など)をいただき、
漫画家さん担当編集さんの希望イメージをヒアリングして、ロゴをデザインしていきます。
1話目の扉がコチラ。

ロゴは連載中にずっと使うものなので、単体でも活用していただけるように、
縦組み横組み、そして雑誌の上部に入れるための肩ロゴを納品します。

連載を毎週雑誌で読みながら、いざ第1巻の装丁へ。
「たくさん売りたい!」というご要望に応えるデザインがはたしてどんなものなのか。
デザインをみんなの心に届けるなんてことはおこがましいことではあるけれど、
なにより私たちが大切にしているのは、作品世界、作品のテンションに寄り添うこと。

連載を毎週雑誌で読みながら、いざ第1巻の装丁へ。
「たくさん売りたい!」というご要望に応えるデザインがはたしてどんなものなのか。
デザインをみんなの心に届けるなんてことはおこがましいことではあるけれど、
なにより私たちが大切にしているのは、作品世界、作品のテンションに寄り添うこと。
■第1巻は、堂々とした佇まいにしよう!
パッと見で“印刷を取り扱っている作品”とわかるように、連載時のロゴをそのまま使用することにしました。
CMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)という印刷で使用するプロセスカラーを取り入れたロゴデザインです。
CMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)という印刷で使用するプロセスカラーを取り入れたロゴデザインです。
(装丁の段階で、連載時と異なるロゴを提案することもあります。)
事前に染谷みのるさんが描いてくださっていたラフを元に、担当編集さんとどんなカバー絵がよいか相談します。
お仕事漫画としてより多くの方に手にとっていただけるよう、王道かつインパクトのある構図がよいのではないか・・・
などなど、さまざま意見を交換しながら打合せをします。
お仕事漫画としてより多くの方に手にとっていただけるよう、王道かつインパクトのある構図がよいのではないか・・・
などなど、さまざま意見を交換しながら打合せをします。
↓染谷みのるさんのカバー絵ラフです。(染谷さん、掲載許諾ありがとうございます!)

さらに第1巻は、登場感を出したい!!

さらに第1巻は、登場感を出したい!!
というわけで、主人公・真白 悠をドカンと描いていただくことにしました。
染谷みのるさんのラフ、E案を元に、勢いを増すため井上が描いたラフが以下。
画面を広く使った構図は染谷さんの絵の魅力なので、それを活かせるよう表1(正面)だけでなく
表まわり(カバー全体)を使った絵を描いていただくことをご提案しました。
ナルティスがデザインをしていく過程では、漫画家さんも交えて打合せする場合とそうでない場合があって、
染谷みのるさんのラフ、E案を元に、勢いを増すため井上が描いたラフが以下。
画面を広く使った構図は染谷さんの絵の魅力なので、それを活かせるよう表1(正面)だけでなく
表まわり(カバー全体)を使った絵を描いていただくことをご提案しました。
ナルティスがデザインをしていく過程では、漫画家さんも交えて打合せする場合とそうでない場合があって、
漫画家さんと直接お会いしない場合でも、ラフのやりとりでコミュニケーションを取りながら進めます。
デザイナーのラフは、漫画家さんの絵の幅を狭めないよう、ざっくりと描くことを大事にしています。

まさに「真白 悠、参上!!!」というカバー絵をいただき、
「『刷ったもんだ!』参上!!!」というデザインで仕上げました。
色校正をドーンとデスクに広げた主人公・真白さんです。

入稿、校了間際って、実際分刻みに事が動いていきます。
色校正が舞うことは実際ないかもしれないけれど、舞うくらいの勢いでドバババーっと進んでいく。
真白さんがお仕事に奮闘する空気と、表4に冷静に佇む黒瀬さんのギャップ・・!!


カバーでは、真白さん黒瀬さんが色校正を確認しているわけなのですが、よーくご覧ください。
まさに『刷ったもんだ!』の色校正を確認しているんです。

当初は、校正紙部分以外のデザインを完成させて入稿して、
その校正紙を撮影してデザインにはめこんで再入稿・・・!!!
というライブ感しかないご提案もしていたのですが(下記ラフ参照・井上画)、
実際はカバー絵を使わせていただいて、カバー絵の中の校正紙にカバー絵を組み込む二重構造を作り上げています。
「頭がめちゃくちゃこんがらがりながら作ってます・・」(井上談)

ちなみに2巻は、黒瀬さんのモニタが連載扉デザインの作業画面になっています。

■帯デザインもポイント!
カラーチップ(色見本)をそのまま巻いたようなデザイン。
CMYKに加えて“特色”と呼ばれるインクを加えることで、鮮やかな色味が表現できます。
(※1巻第2話でも触れられているので、ぜひご覧ください)
特色の色見本としてお仕事で毎日お世話になるのが、DICカラーガイド。
1巻では、漫画装丁のお仕事でよく使用するDIC-584Bを巻きました。
(カラーチップデザインの使用許諾をいただいたDIC株式会社様、ありがとうございます!)


『刷ったもんだ!』を読んでいると、共感したり、駆け出しのデザイナー時代を思い出したり、

本体表紙(カバーを外したところ)は、実際にナルティスで色校正を確認している場面を実写でお届け。
色校正では色味だけでなく、トンボで切り取って本に巻いてみて仕上がりイメージを確認します。
2巻の本体表紙も、ぜひ実物をお手にとってご覧いただきたいです。

『刷ったもんだ!』を読んでいると、共感したり、駆け出しのデザイナー時代を思い出したり、
デザイン・印刷業界にいるからこそ身につまされるようなエピソードも盛りだくさん。
さらに、仕事に奮闘する姿や同僚と修羅場を乗り越える場面は、業界に問わず、グッとくるはず!!
読んでいくにつれて「仕事っていろいろあるけど、こういう瞬間があるから楽しいんだよなあ!」
と思える仕事がしたくなります。
最後に、装丁担当デザイナーの井上に、デザイナーとしての至福の時間ってどんなとき?と聞いてみました。
「作品でも描かれていますが、自分が作ったものが世に出る嬉しさはとても共感しました。
あとは、以前からファンだった作家さんとお仕事する機会をもらえることは、この仕事の醍醐味です。
染谷みのるさんも学生時代からめちゃくちゃファンだったので、すごい嬉しいです!!
やっぱり井上さんに頼んでよかった!と言っていただけると、生きててよかった〜と感じるので、
日々学びながらがんばっていきたいと思ってます。」
『刷ったもんだ!』2巻まで発売中、モーニングにて連載中です。
私たちも連載の続きを楽しみにしていまーす!!!
by nar_boss
| 2020-12-02 15:51
| △WORKS_comic